Title: | UTCPレクチャー「〈似て非なるもの〉を思考する――疑似形態学の魅惑と危険」終了しました |
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Date: | 2010年9月14日|火|18:30–20:30 |
Place: | 東京大学駒場キャンパス|18号館ホール[地図] |
UTCPレクチャー
〈似て非なるもの〉を思考する
疑似形態学の魅惑と危険
- イヴ゠アラン・ボワ(プリンストン高等研究院歴史研究科教授)
主催:東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」(UTCP)
中期教育プログラム「イメージ研究の再構築」
使用言語:英語(逐次通訳つき)
入場無料|事前登録不要
複数のオブジェクトが、文化的・歴史的背景はまったく異なるにもかかわらず、見た目には驚くほどよく似ているということがある。19世紀の人類学、考古学、言語学はこの現象に魅了され、なんとか説明をつけようと試みた。しばしば持ち出されたのは「伝播」(作者が移住したために同じ形が複数の時代・地域に広まった)、あるいは「普遍性」(人間というのはいつの時代・どの地域でも同じようなことをするものだ)といった考え方だったが、どちらも現代の研究者からは疑問視されている。しかしながら美術批評家やキュレーターたちのあいだでは昨今、形の似た作品を並べてそこに深い結びつきがあるかのように語ることが流行している。とすれば改めて問うてみなければならない。わたしたちは類似というこの現象から何かを学ぶことができるだろうか? それとも類似とは本質的に無意味なものなのだろうか?
講演者略歴|Yve-Alain Bois
1952年アルジェリア生。ロラン・バルト、ユベール・ダミッシュの指導のもとパリ社会科学高等研究院(EHESS)にて博士号取得。フランス国立科学研究所(CNRS)、ジョンズ・ホプキンス大学、ハーヴァード大学を経て2005年より現職。犀利な形態分析と鋭敏な歴史意識、該博な理論的知識を融合させたアプローチで20世紀美術史をリードする研究者。主著に『モデルとしての絵画』(1990年)『アンフォルム』(共著、1998年、邦訳近刊)『マティスとピカソ』(1998年、邦訳・日本経済新聞社、2000年)『1900年以後の芸術』(共著、2004年)などがあり、ほかに論文多数。企画した展覧会として「マティスとピカソ」(1999年)「エルズワース・ケリー、初期ドローイング」(1999年)「ピカソ=アルレッキーノ」(2008年)など。批評誌『オクトーバー』『アートフォーラム』編集委員。